ThinkPad A30pは、当時のThinkPadシリーズのフラッグシップモデルというべき存在です。
XシリーズやTシリーズよりも大柄な筐体で、モバイル機として使うのはほとんど無理ですが、デスクトップPC置換えとしては、十分使える存在であったと思います。
A30pはA22pの後継機種となるモデルです。
CPUはモバイルPentium3-Mが搭載され、ビデオチップはMobility RADEON、そして液晶は15型UXGAと、当時のノートPCとしては、贅沢な構成となっていました。チップセットは830MPとなり、メモリも1GBまで増設できるようになっています。ビデオチップのVRAMは32MBありましたし、液晶もフレックスビューという視野角が広い液晶が採用されていました。A22pやA21pでもUXGA液晶が採用されていましたが、CPUの性能やビデオチップや液晶の変更、メインメモリが多く積めるようになったりと、大きな進化となっています。
実際、私はA21pも所有していますが、A21pと比べて、非常に大きな変化があったモデルチェンジだと思います。CPUの数値だけ見てしまうと、たいした変化もないように受け取られてしまいそうな機種ですが、A21pと比べてかなり使用感が違います。
キーボードですが、A20シリーズやT20シリーズの持っていた、頼りない感じのキータッチからがらっと変わって、だいぶしっかりしたキータッチになっています。また、キーボードの左サイドに、A30シリーズ特有の、メール等のためのボタンが6つあります。しかし私は利用したことがありません・・・
A30シリーズの大きな特徴として、ウルトラベイ2000のスロットが2つある、という点があります。TシリーズやRシリーズでは1つしかないウルトラベイ2000のスロットが、左右に1つずつついています。いろいろと使い方がありそうです。
メモリは2スロットで、最大1GBまで増設できます。私は768MBで使用しています。
規格はPC133になるのですが、512MBあたりだと割高な価格で出回ってます。ちょっと残念。
ビデオチップはMobility RADEONです。最近の3Dゲーム等はまともにできるわけがありませんが、ちょっとしたゲームならこれでも可能です。
VRAMは32MB搭載ですが、発売当時はこれもかなり驚いた記憶があります。
A21pでは横にあったビデオ入出力ですが、A30pでは本体の背部にあります。しかしこの機能も利用したことがありません。
USBポートは2つありますが、残念ながらUSB2.0ではなく、USB1.1です。場所が背部ということもあり、使い勝手はイマイチです。
全体的な感想としては、キーボードのキータッチが良くなったこと、UXGA液晶が見易いこと、CPUパワーも実用には十分ということで、かなり満足しています。
私のA30pはバックライト切れ状態のものを入手して再生させたわけですが、バックライトが切れていたこと以外は、比較的状態が良かったのがラッキーでした。
T40も所有していますが、重い作業をやらせると、T40よりは確かに遅いです。しかし自宅のみで使うなら、UXGA液晶の良さや、全体的な使い勝手はA30pのほうがずっと良いと思います。CPUの速さだけ見れば、最近のPCと比べるとかなり遅いということになるわけですが、実際の使用感というものは、やはり使ってみないとわからないなあというのが実感です。
A30pの筐体や液晶を引き継ぎ、Pentium4アーキテクチャに変更されたA31pという機種も存在するわけですが、残念ながら、ThinkPadのAシリーズは、A31pが最後となってしまいました。Aシリーズ亡き後の大きめのThinkPadというと、RシリーズやGシリーズがあるわけですが、Aシリーズならではの良さというものもあったような気がして、残念に思います。